うつ病ライブラリーDEPRESSION LIBRARY

うつ病の原因

遺伝的要因や性格など、
うつ病になって
しまう様々な
原因についてご紹介します。

喪失体験 

うつ病を引き起こす原因のひとつとして、「喪失体験」があります。
喪失体験とは“自分にとって愛着のある人や大切な事柄を失う体験”です。
そもそも、うつ病になりやすい人は「仕事が私のすべて」「愛犬だけが私の生きがい」といった、対象との同一化が強い傾向にあります。
そういう傾向にある人が喪失体験を経験すると、半身が引き裂かれたような胸の痛みや心に穴が空いたような空虚感を味わうことになり、深刻なうつ病を招いてしまうことがあります。
身体的要因とは違って精神面に著しいショックを与える喪失体験は、いつ誰の身に起こるか分からず防ぎようがありません。
喪失体験がうつ病を招く理由と、深刻なうつ病を引き起こす代表的な喪失体験をご紹介します。

なぜ、喪失体験がうつ病に発展するの?

なぜ、喪失体験はうつ病を引き起こすのでしょうか? その理由は、強烈な喪失体験を経験した後の心身にあらわれる影響に原因があります。対象の喪失により、心身にはさまざまな悪影響があります。寝付きが悪くなり、食欲がわかず、生きようという気力がどんどん失われていきます。無力感に支配される日々が続くと、いつしか「消えてしまいたい」と考えるようになります。これらの状態は、うつ病を患ったときの症状と酷似しています。

うつ病の症状に極めて近い状態が続くということは、脳に負担がかかり続けるということです。負担によって脳の機能が低下し、神経伝達物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」が正常に働かなくなると、本当にうつ病を発症してしまうことも。セロトニンとノルアドレナリンの機能不全はうつ病の原因の一つです。なんらかの喪失体験によりプレッシャーがかかり続けた結果、心身ともにエネルギーを消耗し、うつ病を発病するに至ります。

2つの喪失体験

喪失体験は主に、「外的喪失体験」と「内的喪失体験」の2種類に分けられます。2つの喪失体験について詳しくご説明します。

外的対象喪失

外的喪失体験は、うつ病を発症するきっかけの中でも代表的なものです。「自己喪失体験」ともいわれていて、本人のパーソナリティを形成するほど重要な物事や他人を失う体験です。「夫や子どもがあっての自分である」「この仕事があっての自分である」などの考えが強い人ほど、対象を失ったときに強いショックを受けてしまいます。同一化が進んでいるため、対象の喪失は自己の喪失にも繋がるからです。

外的喪失体験には本人と深い関わりを持つ他者との別れ(家族や友人との死別)、仕事など本人がやりがいを感じていた社会的役割・地位や名誉などの喪失や変化(リストラや左遷)、大切にしていたものの喪失(財産やペットなど)などがあげられます。

内的対象喪失

内的喪失体験には、はっきりと目にみえる喪失対象がありません。信頼していた人の裏切り、理想にしていた人への幻滅など、自分のなかにある他者のイメージと現実とのギャップが大きいとき、「相手に対して抱いていた期待」を喪失してしまうことを指しています。その領域は家族や知人だけではなく、宗教や信仰の場面にも及びます。

外的喪失体験とは異なり、現実との裏付けがないため、他人には理解されにくい面もあります。しかし、目にみえなくとも本人が生きていくための内的事象は確かに存在します。それらが本人の前から失われると、自己価値観の喪失や目標・理念の喪失といった「絶望」に繋がることになり、深刻なうつ病を招いてしまいます。

まとめ

なんらかの喪失体験を経験すると、不眠や食欲不振、何もする気が起きなくなるといったうつ病の症状に酷似した状態に陥ることがあります。心と身体の不調が続くと脳の機能が低下していき、うつ病を引き起こします。

喪失体験を経験したことにより生じる感情は個人によって違います。他人にはたいしたことのない出来事に思えても、本人にとっては重大な喪失に感じられることもあるのです。喪失体験は人それぞれであり、みえない心の傷をそのままにしているとうつ病を患い、より長く苦しむことになってしまいます。心の傷を癒やすためにも、喪失体験を受け入れるプロセスが大切な役割を担います。