うつ病ライブラリーDEPRESSION LIBRARY

うつ病の接し方

うつ病の正しい知識を持ち、
患者に
寄り添っていくために
その心構えをご提案します。

うつ病患者に向き合う際に避けるべき対応

■サポートの基本■

過去の誤った教育や「うつ病は心の風邪」というフレーズなどによって、うつ病について正しい認識が広まっていない、というのが日本の現状です。<br>精神疾患の患者が急増した現在においてもなお、「病気だとはわかっているが、心の弱さが原因で起こる」といった偏見を持つ人がいるのです。<br>正しい認識が進んでいないということは、正しい対処法も知られていないということです。<br>うつ病患者に対して厳禁とされる行動は多々あります。<br>今回は、その中でも「結論を求めないようにすること」の重要性についてご紹介します。

精神論では解決しない

うつ病が発症するメカニズムは明瞭にはなっていませんが、脳の伝達物質と関係があるという点は確実視されています。うつ病患者の多くにセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンといった伝達物質の不足が見られているからです。さらに、伝達物質のバランスを整えるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤を利用することによってうつ病の症状が改善しています。

うつ病患者によく見受けられる意欲の低下や気分の落ち込み、イライラなどの症状は、伝達物質の不足によって起こるといわれています。これらの症状は、あくまで伝達物質の不足という症状によって起きるものであり、単に本人の意思で改善できるものではありません。

このような症状が表れているときに、うつ病患者を責めるような発言をすれば、強いプレッシャーを与えてしまうことになります。患者も「治したい」「頑張りたい」と考えていますが、その意欲を阻害してしまうのがうつ病の症状であり、精神論では解決しないのです。

プレッシャーをかける言葉

うつ病患者が周りにいる場合、厳禁だとされている言動があります。それが、結論を求めるような質問をすることです。上述したように、うつ病患者は脳機能が低下している状態にあります。このようなときに、「いつ治るのか?」、「どうしてうつ病にかかってしまったのか?」などと質問しても、うつ病患者は思考力が低下しており、質問されていることがプレッシャーとなってしまいます。

もちろん、はっきりした返答は期待できません。どちらにとっても無益であるため、このような質問は控えるようにしましょう。

そもそも、自身の意思によって病気にかかる人はいません。「性格の弱さ」が原因なのではなく、誠実で真面目、完璧主義な人ほどうつ病を発症しやすいといわれています。自分自身を追い込んでしまい、心身のバランスを崩しやすいためです。

患者本人が、「いつ治るのだろうか」、「周りに迷惑をかけていないだろうか」など自責の念を感じていることもあります。周りにいる人も先行きが不透明で不安に感じるでしょうが、その不安は患者が最も強く感じているのです。

家庭での環境づくり

うつ病の治療には、心身ともに落ち着ける環境づくりが大切だとされています。学校や仕事を休んで療養に入ったとしても、家庭でプレッシャーがかかるようなことがあれば、ストレスの原因がすり替わるだけで、改善効果は期待できません。

「ご飯のメニューは何が良い?」など何気ない質問であっても、うつ病患者はプレッシャーを感じることあります。選択を迫るのではなく、こちら側から提案するのがいいですね。例えば、「今日のご飯はこのメニューにするね」といった言葉をかけてあげると良いでしょう。

周りの人にとっては難しい問題かもしれませんが、こういった小さな心遣いを忘れないようにしましょう。結論や返答を求めない声掛けが、うつ病患者にとって最もストレスとなりにくいのです。

まとめ

うつ病は、単純な心の病気というわけではありません。心身にかかる負担によって、脳にまで影響が出る病気です。将来が不安になる気持ちもあるでしょうが、結論を求めるような言動は避けてあげましょう。そうすることで、患者の負担が減り、改善へと繋がっていくはずです。