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高齢者うつ患者の「物盗られ妄想」への対処法

■ケーススタディ■

うつ病になる原因は人それぞれですが、若い人は学校や会社によるストレスの影響から症状を発症してしまうことが多いとされています。
一方で高齢者の場合は、仕事を退職した後の環境の変化や周りの人の死がきっかけとなるケースが多いとされています。
仕事を退職してから何もすることがなくなったことへの喪失感、配偶者や友人が亡くなったことによる「自分もいつか」という不安などが大きな原因だと考えられています。
そんな高齢者のうつ症状の一つに「物盗られ妄想」があります。
今回は、物盗られ妄想への対応方法をご紹介します。

高齢者のうつ症状「被害妄想」が起きる理由

高齢者のうつ病には、イライラする、何に対してもやる気が出ない、疲れが取れず寝てばかり、なかなか寝付けない、食欲がないなどの症状が見られます。

また、これらの症状以外にも、被害妄想が見られることもあります。被害妄想の中でも多いといわれるのが、「誰かに自分の物を盗まれた」というものです。うつ病を発症している高齢者は自分の持ち物がなくなると、自分でどこかに置いたと考えるのではなく、人に盗まれたと疑ってしまう傾向にあります。

うつ病患者は、セロトニンやドーパミンなどの脳内伝達物質が減少している状態にあります。自律神経が乱れることで正しい判断ができず、被害妄想を引き起こすと考えられているのです。また、高齢者の場合、加齢により記憶力が低下してしまいます。それにより”自分が物を置いた”ことを忘れ、被害妄想につながるとも考えられています。

対応方法

一緒に探す

「物がなくなった」「物が盗まれた」と高齢者のうつ病患者が訴える場合は、一緒に探してあげましょう。このとき、家族は積極的に探すのではなく、高齢者が自らなくしたものを見つけられるようにサポートすることが大切です。

なくしたものを探すときは、家族の方が盗んだと間違われないよう高齢者の持ち物に触るのをなるべく避けた方がいいでしょう。高齢者の持ち物を触ることで、触っている仕草が物を戻すように見えてしまう可能性があるからです。物が見つかったときは、一緒に喜び「見つかって良かったね」と声をかけることで高齢者は安心できるでしょう。

感情的にならない

高齢者は、身の回りの物がなくなったときに身近な家族を疑うことがあります。疑われる側にとってそれはあまり良い気分ではないため、ついつい高齢者に対して「自分でどこかに置いたのでは」「私が盗むはずはない」などと強く当たってしまうかもしれません。しかし、疑われたからといって感情的になってはいけません。感情的になることで、かえって疑いを深めてしまう可能性もあるからです。

家族が管理しておく

高齢者が物をなくさないように、財布や通帳など大事な物は家族が管理をしておいた方がいいでしょう。高齢者に対し、「財布や通帳は家族が預かっているから大丈夫だよ」と前もって伝えておくことで、不安を取り除いてあげることができます。

また、あらかじめ同じ財布などを用意しておくのもいいでしょう。高齢者が「物が盗まれた」「物がなくなった」と訴えてきたときに備え、こっそりと高齢者が探しやすい場所に置いておくのも良い手段といえます。

まとめ

高齢者のうつ病患者の物盗られ妄想に対してどのように対応したらいいのかと、戸惑ってしまう人も多いと思います。まず大切なのは、その訴えを否定しないことです。うつ病患者にとって否定されることは心の負担となり、さらに症状を悪化させてしまう原因となりえます。

高齢者は「落ち込んでいる」というリアクションに乏しい場合が多く、ただ怒っているようにしか見えないかもしれません。しかしその訴えや気持ちを肯定し、一緒に解決してあげることで、物取られ妄想などの症状を緩和できる可能性があります。家族は盗んだと疑われたとしても、感情をぶつけず、冷静な対応を心掛けるようにしましょう。