うつ病と記憶障害の関連性。認知症との違いや改善方法について

うつ病は、気分の落ち込みや行動意欲の低下といった気分障害が慢性的に続く疾患です。うつ病は決して特殊な疾患ではなく、日本人においては15人に1人は発症するリスクがあると言われています。

 

うつ病にかかると心の不調だけではなく、不眠や食欲不振、倦怠感などの体の不調に加え、認知症でも見られる記憶障害が現れることがあります。とくに高齢者においては、うつ病と認知症の区別が付きにくいため、不調に気が付いたら早めに病院を受診することが大切です。

 

ここでは、うつ病と記憶障害との関連性や認知症との違い、セルフチェックのポイントなどを紹介します。

 

記憶障害はうつ病が原因?うつ病の特徴について

うつ病は、落ち込んだ気分や行動意欲が失われるなどの症状が現れる気分障害の1つです。これらの心の不調とともに、肩の凝りや不眠、食欲不振、倦怠感といった体の不調を伴うことも少なくありません。

 

うつ病では、気分が落ち込んで無気力になるため、日常生活や社会生活に支障を来すケースも多いです。うつ病の原因ははっきりとは解明されていませんが、職場環境や生活環境によるストレスが大きな原因であるといわれています。また、うつ病になると脳内の神経伝達物質の分泌量が低下し、脳の機能低下が見られることも分かっています。

 

うつ病になって脳の機能が低下すると、思考力や集中力の低下に加えて記憶力の低下が見られるケースも少なくありません。思考力の低下により仕事に支障をきしたり、決断が必要な状況になったときでもいつまでも決めることができなくなってしまうのです。

 

また、記憶力も低下するため、何を質問されたか忘れて適切な返事ができなくなり、仕事を続けることができなくなるケースもあります。

 

高齢者の記憶障害に要注意!うつ病と認知症では似た症状が現れる

高齢者では、6人に1人がうつ病を発症するといわれています。高齢者がうつ病になるのはストレスも関係しています。しかしそれだけでなく、近しい人の死や住み慣れた場所からの引越し、慢性疾患の悪化、収入の減少、社会的な孤立などの高齢者特有の原因が目立ち始めます。

 

また、脳や心臓、甲状腺の病気、がん、認知症やパーキンソン病など、加齢とともに発症リスクが高くなる疾患が原因となって、うつ病を併発するケースも少なくありません。

 

それとともに、高齢者の場合はうつ病に見られる症状が認知症とよく似たものがあるため、うつ病の診断が難しくなるのも特徴的です。集中力や記憶力の低下、思考の鈍化、錯乱といった症状は、うつ病でも認知症でも見られる代表的な症状です。うつ病であれば治療により脳機能は回復しますが、認知症が原因の場合は治療による回復効果はほぼ期待できません。

 

これってうつ病?認知症と見分けるセルフチェックポイント

 

うつ病と認知症は、治療法が全く異なります。そのため、できるだけ早期に医師を受診して正しい診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。ただ、うつ病と認知症の症状が似ているとはいえ、異なる部分も多いですので事前に違いについて把握しておきましょう。うつ病と認知症を見分けるためのセルフチェックポイントとして代表的な特徴には、以下のようなものが挙げられます。

 

うつ病と認知症の大きな違いは、症状の進行速度です。認知症は少しずつ症状が進行するため発症に気づかないケースも多いですが、うつ病は比較的短期間に複数の症状が見られるようになります。

 

また、症状の現れ方も異なり、認知症の場合にまず見られるのが記憶障害で、そこから少しずつ記憶障害が悪化し、自分の記憶障害に焦りや不安を覚えることはほぼありません。一方、うつ病の場合は突然数日前のことが思い出せなくなり、そのことに対して本人が強く不安を抱くケースがほとんどです。

 

分かりやすい特徴としては、質問の受け答えが挙げられます。うつ病も認知症も思考力や判断力の低下が見られますが、認知症の場合は質問に対して全く見当はずれな回答するケースがほとんどです。

 

的外れな回答について指摘すると取り繕うような様子が見られることもあります。それに対して、うつ病は質問に対して熟考する姿勢が見られるものの、正しい回答を判断できずに黙り込んでしまうという傾向が見られます。

 

認知症とうつ病を見分けるセルフチェックポイントは上記のようにいくつかありますが、基本的に認知症とうつ病の区別は難しいものです。判断に迷ったら、まず認知症を専門に診る医療機関を受診し、症状について相談するようにしましょう。

 

記憶障害の原因は?身近な人のサポートが症状悪化を防ぐ

記憶障害の原因がうつ病であれ認知症であれ、症状が進行するとともに日常生活に支障が現れてくることには違いはありません。もし身近な人に気になる症状が見られるようであれば、放置せずに早めに病院を受診しましょう。うつ病も認知症も、放置することで症状が改善することはありません。

 

高齢者のうつ病を予防・改善するためには、まず活力を取り戻すことのできる環境を整えることが大切だと言われています。趣味や習いごと、自分以外の人と会話する機会を作るなど、社会や人との関わりを絶やさないことがうつ病予防には大切です。

 

また、くつろげる家庭環境を用意する、栄養バランスのとれた食事を規則正しく摂るなど、家族のサポートがうつ病の改善につながる場合も多く見られます。

 

認知症の場合、病気を完全に治す薬がないため、不眠や不安などの症状を抑えたり、症状の進行を遅らせたりする薬が治療の中心となります。ただ、こちらも早期に治療を始めることが病気の進行を遅らせる上で非常に大切です。身近な人の異常に気が付いたら、できるだけ早期に病院を受診するようにしましょう。

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