うつ病の程度に問わず、運転する前に知っておくべきこと

うつ病の治療を行っている人が車の運転をしても問題ないのでしょうか?てんかん患者が起こした交通事故が世間を騒がせたことなどもあり、平成26年よりうつ病や総合失調症など持病がある人の運転について法律が強化されました。軽度のうつ病であっても、きちんと理解をしておく必要のある法律です。今回はうつ病の人に関係する交通道路法について紹介します。

うつ病と車の運転に関係する2つの法律

▼改正道路交通法

平成26年より道路交通法が一部改正されて、一定の持病がある人に質問票を交付できるようになりました。精神疾患も一定の持病のなかに含まれていて、具体的には「統合失調症」「躁うつ病、うつ病」「重度の睡眠障害」「てんかん」などの疾患が対象になっています。うつ病があり、質問票を受け取った場合、まずは病気について正直に答えることが大切です。虚偽の報告をした場合には、1年以下の懲役か30万円以下の罰金が課せられることになります。

質問票の内容によっては主治医の診断書を提出する必要も出てきます。多くの場合は、主治医が運転に危険が伴うと判断すると運転免許を受け取ることができません。また、該当する患者を診断した医師は任意で診断結果を公安委員会に届けることもできますから、虚偽の報告が医師の届け出により発覚する可能性もあります。医師の届け出は「任意」にはなっていますが、自分が診断した患者による事故で医師自身にも不利益が生じる可能性があることを考えると半ば強制とも考えられます。

▼自動車運転死傷行為処罰法

法を無視して運転を続けた場合、処罰される可能性も出てきます。うつ病があり、主治医の判断で病気による症状が安全な運転に支障を及ぼす可能性があると診断されたとします。そのことを理解していたにも関わらず、車の運転をして交通事故を起こした場合、「自動車運転死傷行為処罰法」が適応される可能性があります。人が死亡した場合には懲役15年以下、負傷させた場合には懲役12年以下という処罰の対象です。

うつ病でも運転免許は取得できるの?

うつ病の人が車の運転を制限される可能性のある法律が制定されましたが、うつ病と診断された全ての人が運転できないというわけではありません。多くのうつ病の人は運転をしても問題がないレベルであることが多いと考えられます。主治医によって、うつ病による症状が安全な運転を妨げるおそれがあると判断された場合に、車の運転免許が取得できない可能性があるのです。

車の運転をする人間に持病があろうとなかろうと、誰にも「絶対に安全である」とは言いきれないものです。また、うつ病で通院している人が居眠り事故を起こした場合、それは普通の人と同じ問題なのか、うつ病の症状によるものなのか、という判断はとても難しいものです。難しい問題を残した法律なのですが、制定された以上、うつ病で通院をしている人は主治医に判断をしてもらわなければいけません。

明らかに精神状態が低下していて、運転をするのが危険であると主治医が判断しない限りは、うつ病で運転が制限されることは少ないでしょう。
実際、これまでうつ病で通院をしていても、危険を意識することなく車を運転しているケースはあったと思われます。そしてほとんどの場合、その判断は間違っていないでしょうが、法律が制定された以上、軽度であってもうつ病で通院をしている場合には、主治医に車の運転をしても問題がないかを確認しておくことをおすすめします。

薬の副作用は別の問題

うつ病による症状が安全な運転に影響を及ぼす危険性があると主治医が判断した場合には車の運転免許が取得できない可能性があることを説明しました。それは、あくまでもうつ病の症状が運転能力に及ぼす影響を考えたものです。

うつ病の治療にはさまざまな薬を服用することがあります。そしてその薬の副作用として眠気を及ぼすことも考えられます。うつ病という病気そのものが運転に及ぼす影響とうつ病の治療に使用される薬が運転に及ぼす影響はまた別の問題ですから、誤解をしないでおく必要があります。

うつ病は個人によって服用する薬が異なりますし、その効果や副作用の出方もそれぞれ違ってきます。また、症状によって処方される薬もしばしば変更になることが考えられます。新しい薬が処方されれば、その都度、服用する薬が車の運転に影響するかどうかについてきちんと確認しておくことも大切です。多くの場合、処方された薬の添付書に記載があるはずです。主治医や薬剤師にも確認をしておくことをおすすめします。

うつ病でも運転できるケースは多い!正直に申告することが大事

うつ病の方が車の運転をする場合、「改正道路交通法」と「自動車運転死傷行為処罰法」の2つの法律について理解をしておく必要があります。基本的に、医師が問題なく運転ができると判断しなければ車の運転をするのが難しくなっています。逆にいうと、医師がうつ病であっても運転能力には問題がないと判断した場合には運転免許の取得が可能ということです。法に従わなかった場合や虚偽の文書を提出した場合には処罰の対象にもなるので、正直に対応することが大切です。

これらの法律に対して、精神神経科学会は根拠に乏しく差別にあたると反対しています。車が不可欠な地域で生活しているうつ病患者にとっては、車を取り上げられることが死活問題になることも考えられます。まだまだ考えるべき問題が残った法律ともいえるので、今後の推移を見守る必要はあるでしょう。

また、これらの法律はうつ病の症状が運転に影響を及ぼす可能性を考えたもので、うつ病の治療で服用している薬の影響は別の問題です。薬の運転に及ぼす影響や注意点はしっかりと医師や薬剤師に確認をしておかなければいけません。

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