漢方の力でうつ病にアプローチする「キヒトウ」

医療が発展し、医学や科学の分野からうつ病にアプローチするために抗うつ剤の研究が進んできました。
しかし、抗うつ剤の副作用を心配する患者も多く、人によっては副作用によって服薬を継続できず治療が進まないこともあります。
そこで、近年行われ始めたのが漢方薬によるうつ病治療です。
副作用がほとんど心配されない漢方薬は、精神病を含むさまざまな病気の治療に取り入れられています。今回は、ドラッグストアでも購入することができるほど身近な漢方薬「帰脾湯(キヒトウ)」についてご紹介します。

うつ病の改善に効く漢方「キヒトウ」に含まれる生薬とその効能

帰脾湯(キヒトウ)とは、不眠や食欲不振、倦怠感や精神的不安、ヒステリーといった症状の治療に用いられてきた漢方薬です。帰脾湯の「脾」という字は消化器系を表し、「胃腸の調子を整えて体の回復を助ける」というような意味が含まれています。漢方薬であるキヒトウには、薬効のあるさまざまな生薬が配合されています。

体質改善効果が期待できる生薬

  • 黄耆(オウギ)
    キバナオウギというマメ科の植物の根のことです。発汗を抑え、血圧を下げる作用があります。また、利尿作用や強壮効果があり、体質改善を助けるはたらきもあります。
  • 白朮(ビャクジュツ)
    オケラやオオバナオケラの根や茎です。脾(内蔵)のはたらきを助け、発汗を抑える効果があります。また、体を温めて活動しやすい状態に整える作用や、体内の水分量を一定に保つ作用もあります。
  • 茯苓(ブクリョウ)
    松塊(マツホド)という松の根に寄生する菌類の一種から菌核の外装を取り除き、乾燥させたものです。口の乾きや潰瘍を予防する効果があります。また胃腸を整え、消化機能を高める効果もあります。

睡眠改善が期待できる生薬

  • 遠志(オンジ)
    ヒメハギ科の多年草、イトヒメハギの根です。病中病後の肉体疲労の回復や、不眠に効果があります。また、痰の解消のために気管支炎の治療に用いることも。
  • 酸棗仁(サンソウジン)
    クロウメモドキ科の落葉高木、ナツメの実の種子を乾燥させて作ります。鎮静効果や神経強壮効果があります。また、不眠症患者がきちんと眠れるように、睡眠導入剤として用いられることも。

リラックス効果が期待できる生薬

  • 木香(モッコウ)
    キク科の植物である木香(モッコウ)の根です。肩こりや高血圧、消化器系の疾患を改善するために用いられます。薫香料(香りをつけるためのもの)としても用いられ、香りで気分を落ち着かせる効果があります。
  • 大棗(タイソウ)
    こちらはナツメの果実を乾燥させたもので、心身の緊張を緩和させる効果があります。下痢で傷ついた消化管を修復し、興奮した腸の動きを抑制して腹痛を緩和してくれる効果もあります。

精神不安をやわらげ、消化器系や血流のはたらきを改善する漢方薬であるキヒトウは、副作用のおそれがほとんどない治療薬として受け入れられ始めています。

うつの典型的な症状「睡眠障害・疲労・抑うつ」の改善に

体質改善・睡眠改善・リラックス効果が期待できるキヒトウは、うつ病の典型的な症例である「睡眠障害」「易疲労性」「抑うつ気分」などに効果を発揮します。目を閉じても眠れない状態が続いている、疲れやすくなって動く気力がわかない、気分が落ち込んだ状態が続きネガティブな考えばかりしてしまう、といった方におすすめです。

ですが、漢方薬の使用には十分ご注意ください。生薬との適合性には個人差があり、自己判断で服用すると、効果が表れないどころか逆効果になる恐れもあります。漢方薬の場合、薬剤師がいる薬局であれば販売できるため、病院以外の場所でも処方してもらうことは可能ですが、体質やうつ病の症状、また服用中の薬との飲み合わせなどを判断した上で漢方薬の処方を受けるためにも、まずは一度医師の診断を仰ぐことをおすすめします。

キヒトウが合わないときは「加味キヒトウ」を試してみて

キヒトウが合わなかったけれど、漢方薬での治療をしたいという人は「加味キヒトウ」がおすすめです。キヒトウ本来の配合に、いくつかの漢方をプラスした配合の漢方薬です。風邪でもないのに微熱や熱感、ほてりを感じる人や疲れやすい人は一度試してみてはいかがでしょう。

まとめ

抗うつ剤や睡眠導入剤の使用に不安を覚える人は少なくありません。そういった不安がある場合は、漢方を処方してくれる病院を選び、漢方薬での治療を選択することもできます。
また、メンタル面で不安を抱える人も予防的に活用できるものもあります。
漢方薬は自然由来のものばかりですが、体質によっては副作用が出ることもあるので、服用を始める前にきちんと医師と相談しましょう。

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