職場うつは「上司からの不平等な扱い」が原因かも

これまで、職場うつの主な原因は「仕事に対するプレッシャー」や「仕事量が多すぎること」と考えられていました。
確かに、いずれも労働者のストレスになり得る要因です。
ですが、デンマークのオーフス大学が約4,500人の公務員を対象として実施したアンケート調査によると、ストレスの原因として最も多くの人が挙げたのは、「仕事のプレッシャー」や「超過勤務」ではなく「仕事環境」、特に「上司から不当に扱われる」ことでした。
不平等な扱いが強いストレスとなり、それがうつ病を発症させる原因になってしまう可能性があるというのです。

公平性が損なわれたときに人はストレスを感じる

うつ病発症のメカニズムには諸説あり、そのうちの一つに「扁桃体の活動によって生じるストレスホルモンが原因である」というものがあります。激しい不安を感じたり緊張状態が続いたりすると、脳の側頭葉にある扁桃体が活発に働き、ストレスホルモンを分泌します。ストレスホルモンが分泌されると、脳は「恐怖」や「嫌悪」といったマイナスの刺激を感じ、原因から離れようとしたり率先して解決したりといった行動欲求が生まれます。つまり、ストレスホルモンの分泌は、体を危険から遠ざけようとする「条件付け」のためのはたらきなのです。

公平性が損なわれたとき、人はそのことに対して不安や憤りを感じ、それを受けて扁桃体がストレスホルモンを分泌しはじめます。扁桃体によるストレスホルモンの分泌は、原因から遠ざかるか、もしくは原因が解決されるまで続きます。「不平等な扱い」が解決され、公平であると納得できる環境に落ち着くまで、ストレスホルモンが出続け、やがて脳や神経が弱ってしまうとうつ病を発症してしまうことがあります。

扁桃体のはたらきは生理的な反応であって、理性でコントロールできるものではありません。そして現代社会では、しばしば公平性が損なわれ、不平等な扱いを受けることがあります。その最たる例が、職場での上下関係です。

被雇用者として企業に所属する以上、社内の役職や階級に従う必要があります。立場が低い人と立場が高い人は、権限において公平ではありません。現代社会においてうつ病が流行しているのは、社会的な格差が大きく広がってきており、当然のように公平性が損なわれていることに関係するともいわれています。

公平性を取り戻すことが大切

スウェーデンの研究機関がストレスに関する分析調査をしたところ、職場で受けている不当な扱いに耐えている男性ははっきりと不満を口にして反抗する男性と比べて、心臓発作のリスクが5倍高まることがわかりました。受けたストレスを体に溜め込むことは、それだけ肉体と精神に大きな負担をかけているのです。職場うつの発症を防ぐためにも、どうしたら公平性を取り戻せるかを考え、できることから行動に移すことを考えてみてはいかがでしょうか。

1.会社の社会保険労務士に相談する

勤めている会社に社会保険労務士がいる場合、「不平等な扱いを受けている」と相談してみましょう。社員のメンタルヘルス対策は社会保険労務士の業務の一つです。社内で起こったトラブルの解決や改善に協力してくれます。社会保険労務士には、社会保険労務士法によって「業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない」という義務が課せられているため、相談をした内容が上司に伝わるようなこともありません。

2.問題となる上司の上長に報告する

多くの企業は、社内コンプライアンスの遵守に取り組んでいます。直属の上司の振る舞いに不平等を感じる場合、さらにその上長に報告し改善を求めることも有効です。上長に伝えにくい、自分が話したことが上司に知られたときのことが不安だ、という場合には、社会保険労務士や産業カウンセラーを通じて相談することもできます。

3.休職、または退職する

「逃げてはいけない」「我慢しなくては」と考えてしまうことが、自分を追い詰め、うつ病の症状を悪化させる原因になってしまうことがあります。立ち向かうことが難しい場合には、休職や退職を一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

「不平等を感じること」が、うつ病の原因になることがあります。自分の公平性が損なわれている、と感じたときには注意が必要です。耐えよう、我慢しよう、と思い込んでしまうと、うつ病になってしまうかもしれません。公平性を取り戻すために、まずはできることから始めていくことが大切です。
もし、どうしても不平等な扱いから脱出することができないという場合には、休職や退職も選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

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