うつ病で記憶力が低下する?原因と対策を知る

うつ病にはさまざまな症状が現れますが、その一つに記憶力の低下があります。記憶力は20歳くらいをピークに少しずつ低下していくといわれているので、加齢による物忘れはいたって自然なことです。しかし、うつ病による記憶力の低下は、その原因も対策も年齢による物忘れとはまったく違います。今回は、うつ病によって起こる記憶力の低下について、その原因と対策をご紹介していきます。

物忘れとの違い

記憶力の低下を感じたとき、気になるのが「病気ではないか」ということではないでしょうか?

実際に今までスラスラと出てきた人の名前や、普段使っている物をどこに置いたかが思い出せないといった症状が現れると、単なる物忘れなのか病的なものなのかがとても気になるものでしょう。それを見分けるのは簡単なことではありません。

記憶は、見たり聞いたりした情報を脳内に保管して、必要なときに取り出せるメモリチップの役割を果たしていますが、何らかの原因でこの処理がうまくいかなくなると、本人や家族は「物忘れ」を認識するようになります。しかし病的な原因がからむ物忘れは、生理的な物忘れとは異なる性質を持っています。

睡眠不足や加齢といった生理的な要因の場合、自分がとった行動や忘れた事実を認識することができ、後から思い出すこともありますが、病的なものはその行動自体が記憶になく、後から思い出すことも難しいといわれています。例えば連続ドラマの2話目を見ていて、家族が1話目の内容を本人に振ったとき、どういう内容だったか記憶をたどれるのが生理的な物忘れで、1話目を見た覚えがないと鑑賞した事実そのものを記憶していないのが病的な要因による記憶力の低下といえるでしょう。

うつ病で記憶力が低下する原因

うつ病による記憶力の低下は脳内の機能が著しく低下することによって引き起こされます。その症状は個人によっても異なりますが、人に頼まれたことを覚えていなかったり、ついさっき話したことを質問されても言葉に詰まって答えられないなど、周囲から見れば物忘れが激しくなったとの印象を抱くかもしれません。

しかし、このような症状を全て「物忘れ」と解釈するのは尚早といえます。例えば、「質問されても言葉に詰まる」というのは単に覚えていないから答えられないという場合だけではなく、「答えられるけど言葉にならない」ということも考えられるからです。うつ病になると、脳の機能低下に伴い思考回路の低下も見られることが多くあります。質問に答えられないのは、思考回路の低下によって集中力が落ちて相手の話を理解することが困難になります。

また、その苦しい状況を言葉で伝えることも難しくなるため、結果、言葉に詰まってしまう(忘れているように見える)ということも考えられるのです。うつ病はストレスなどによって脳内にあるセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が減少することで脳の機能低下を招く病気です。これらの物質が不足すると、精神が不安定になったり、やる気が出なかったり、集中力が続かなくなるといった症状が現われます。

さらに、うつ病になると薬による治療を行う人が多いですが、服用する薬の副作用としても記憶力の低下が起こることが考えられます。日常生活に支障をきたす場合には、早めに医師に相談することをおすすめします。

有効な対策は?

記憶力の低下がうつ病によるものだとわかっても、その治療には時間がかかるのが一般的です。その間、日常生活で困る場面も少なくないでしょう。

特に仕事を続けながら治療を行っている人にとっては、記憶力の低下は深刻な問題として頭を悩ませているかもしれません。仕事のスケジュールを把握したり、電話を受けてメッセージを伝えるなど、職場では記憶力を必要とする場面が多くあります。

そんなときに有効な手段として「メモに書いて残す」という方法があります。誰と、いつ、どこで、何をしたかなどの行動を書きとめ、必要なときにそのメモを見返すようにすれば、仕事上の心配も減らすことが期待でき、また「思い出せない」といった余分なストレスを緩和することも望めるでしょう。メモ帳を持ち歩くのが面倒だと思う人は、スマホを利用したり、時間ごとにスケジューリングできるアプリをダウンロードしてみてもよいでしょう。

まとめ

記憶力の低下は、仕事はもちろん、家族や友人とのコミュニケーションにも支障をきたすことがあります。しかもそれが病気の症状だと理解されず、単なる物忘れとして受け止められてしまうと、本人にとってはとてもつらいことだといえるでしょう。

この事実を周囲の人たちが正しく認識することも大切ですが、なによりうつ病と向き合う人自身が、「記憶力の低下はうつ病によって引き起こされているだけ」ということを、心に留めておく必要があるでしょう。うつ病によって生じる記憶力の低下は、うつ病が治ると記憶力も回復していくのが特徴です。

もし治ったのに記憶力がまったく戻らないといった場合や、症状が深刻で日常生活もままならないという場合には、うつ病以外の病気の可能性もあるかもしれませんので、一度、医師に相談してみることをおすすめします。

関連記事

おすすめ記事