運動と筋肉が鍵を握る! うつ病の予防と改善

「運動をすることでストレスの解消になる」ということを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
運動は精神的な面にも深く関わってくるものであり、うつ病などの精神疾患とも密接な関係にあります。
ロンドン大学のある研究チームは、「若い時に運動をした人としていない人とでは、うつ病を発症するリスクが違う」という調査結果を報告しています。
また、運動と脳内の神経伝達物質が深い関係にあることも、明らかになってきています。
ここでは、運動とうつ病の関係性についてご紹介します。

調査結果から浮かび上がった運動とうつ病の関係

ロンドン大学の研究チームが行った調査は、1958年生まれのイギリス人、1万1,135人を調査対象に開始されました。調査対象者にはそれぞれ23歳、33歳、42歳、50歳の時点での抑うつ症状と、運動の頻度を答えてもらいました。
その調査結果から割り出した結果では、運動する回数を週に0回から3回にまで増やすことで、うつ状態に陥るリスクが19%低下することが判明しました。つまり、週に1度運動する回数を増やすことで、うつ状態に陥るリスクが約6%低下するということになります。

この調査では、若いときにうつ病を発症する人はあまり体を動かしていない傾向にあることも報告されています。研究チームが調査対象からの答えを分析したところ、23歳時点で抑うつ状態にあった人は、抑うつ症状が表れなかった人に比べると、その後も体を動かす頻度が上がらない傾向にあったと発表しています。この結果から、体を動かさない人はうつ病を発症するリスクが高いこと、またうつ症状が運動をする際の妨げになっている可能性があることが読み取れます。

神経伝達物質を増やす鍵は運動にあった! 

うつ病は、さまざまな要因によって交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスが乱れて発症するといわれています。自律神経のバランスが崩れることで、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった神経伝達物質の分泌にも異常が起こります。ノルアドレナリンやドーパミンは満足感や集中力、意欲を司る物質であり、これらが正常に分泌にされないと、うつ病特有の無気力状態、集中力の欠如に繋がります。こうした事実をもとに、運動によってこれらの神経伝達物質の分泌量を増やそうという動きが活発になってきました。

特に有酸素運動は、セロトニンの分泌量を増やすのに最適です。セロトニンは前述したドーパミンやノルアドレナリンの情報を調節し、それを正しく脳に伝えるための司令塔の役割をしています。ウォーキング、ジョギングや踏み台昇降など、負担にならない程度の有酸素運動を行うと、セロトニンの分泌量を無理なく増やすことができます。

筋肉持つ、精神疾患の原因を分解る作用

うつ病の原因物質の一つに、キヌレニンと呼ばれる物質があります。このキヌレニンは、肉や魚、豆製品に含まれている必須アミノ酸であるトリプトファンが代謝される過程で変化したアミノ酸です。このキヌレニンは、うつ病や統合失調症などの精神疾患を患っている人の体内で著しく増加する傾向にあり、精神症状とも関わりがあると考えられています。

ある研究グループが行った研究によると、運動によって刺激された筋肉中には「PGC-1a1」というタンパク質が発生すると判明しました。PGC-1a1は、前述したキヌレニンを分解する酵素である「KAT」を誘導する作用があります。このことから、運動で筋肉を刺激することにより、有害物質であるキヌレニンを分解できるのではないか、と研究が進められています。

こうした発見をもとに、ある実験が行われました。その実験とは、特殊な遺伝子操作によって運動しなくてもPGC-1a1を体内で生成するようにしたマウスを使ったものです。実験の結果、キヌレニンを投与された自然状態のマウスがうつ症状をみせたのに対し、PGC-1a1が体内生成されているマウスはそうした素振りをみせないということが判明しています。

まとめ

運動は単なる体力づくりやダイエットだけでなく、うつ病などの精神疾患の予防にも効果的だということが明らかになっています。ストレスを感じたら、まずは簡単な運動で筋肉を刺激してみてはいかがでしょうか。

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