自傷行為は死ぬためではなく、生きるために行っている

うつ病にかかってしまうと、「自分はどうして何もできないのだろう」「人に迷惑をかけている自分が情けない」といったマイナス思考から脱却できず、自傷行為や自殺に走ってしまうことがあります。
日本の自殺者の約半数が、うつ病を患っているともいわれています。
しかしここで気をつけたいのは、自傷行為の延長線上に自殺があるのではなく、この2つは全く別の心理状態から来るものだということです。
ここでは、自傷行為とそのメカニズムについて紹介しています。

リストカット、抜毛、火傷・・・体を傷つけて得る麻薬ホルモン

自傷行為とひと口にいっても、さまざまなものがあります。

自傷行為には、爪や刃物などを使って自分の身体を傷つける行為が最も多いとされています。リストカットはこのタイプに含まれます。ほかには髪の毛を抜いたり、わざと骨折したり、火傷をしてみたりといった行為が挙げられます。そうやって傷つけた部分が回復してきたとき、その回復を阻害する行為も自傷行為に含まれます。

エスカレートしてくると、頭を強く壁に打ちつけるなど、重大な後遺症が残りかねない行動を取り始めることもあります。やがて自分でもコントロールが効かなくなると、死に至ってもおかしくないような危険行為にまで及ぶこともあります。

自傷行為が過ぎて死に至るケースもあります。しかし、こういった行動は死にたくて行っているのではなく、生きようという心の動きがそうさせているのだといわれています。身体を傷つけると、βエンドルフィンという麻薬効果のある成分が分泌されます。自傷行為を行う人は、この麻薬効果によって心の痛みを鎮めようとしているのだと考えられています。

自傷行為へと駆り立てる疾患の存在

自傷行為は、単に本人が苦しいと思っているだけだったり、子どもの頃に十分な愛情表現を受けてこなかったりという理由で行われることもあります。しかし、うつ病や統合失調症、強迫性障害などの精神疾患によって自傷行為が行われているケースも多くあります。

ほかには、境界性人格障害などの人格障害、パニック障害、各種依存症、摂食障害などと関連があるともいわれています。なお、自傷行為の代表例であるリストカットは、女性に多いことが専門家により指摘されています。

誰かの自傷行為に気づいたら何かしらの疾患を抱えていると考え、注意深く見守りましょう。話をよく聞き、必要だと感じたら精神科への受診を勧めることも大切です。

自傷行為は周囲に向けて発信するSOS

自傷行為を行う理由には、さまざまなものがあります。

自傷行為は、自分の危機的状況を周囲に知らせるために行う伝達手段である場合があります。これをクライシスコールと呼びます。この場合、自分は苦しんでいてもう限界だ、助けてくれ、というサインを発していると捉えます。そういった気持ちを口に出すことができず、自傷という行動に出てしまうのです。

理想と現実の自分の姿がかけ離れていることに苦しみ、そんな自分を否定したい気持ちから自傷行為を行うこともあります。また、こうした理由とは反対に、そういった自己否定の感情から逃げたいという理由も考えられます。「痛みを感じること」や「血を見ること」は、一時的に陶酔感を味わうことができるので、その痛みで現実逃避をしようとしているのです。

代替行為で自傷行為を止める

自傷行為が見られた場合、どのような対策をするといいでしょうか。

自傷行為をしている本人が「やめたい」と考えているなら、「代替行為」が効果的です。例として、リストカットをしようとしたら手にハンドクリームを塗る、髪の毛を抜こうとしたら頭を撫でる、などの行為が挙げられます。このように自傷行為と近い行為で代替することにより、徐々に自分を傷つけようという気持ちを和らげていきます。

周りの人が気づいた場合、必要なのは理解すること、そしてサポートすることです。まずはその人の存在を認め、話を聞いて共感することが大切です。そして、精神科やカウンセラーなどの専門家への受診を勧めることです。そうすることで、その人はいち早く自傷行為から脱却することができます。

まとめ

このように、自傷行為は生きるため、そして自分を守るために行われるものです。自殺願望と似たようなものだと誤認したままだと、その人のことを理解することはできません。適切なサポートにつなげるためにも、以上の特徴を把握しておくことが大切です。

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