うつ病ライブラリーDEPRESSION LIBRARY

うつ病の症状

精神症状・身体症状という
二つの面から、
うつ病の症状について
解説します。

自殺念慮について

2016年に内閣府が公表した自殺に関する調査によって、自殺の動機でもっとも多くの割合をしめているのは「健康問題」であることが明らかになりました。
なかでも精神疾患、とりわけ「うつ病」は主要な原因として挙げられています。
うつ病患者が自殺に及ぶ危険性は高く、「自殺はうつ病の症状の一つ」とさえいわれるほど。
なぜ、うつ病を患うと自殺を考え、やがては実行に移してしまうのでしょうか。
それには、うつ病患者にみられる「自殺念慮」という心理状態が関係しています。

自殺念慮とは

自殺念慮とは、特別な理由なく、または周囲の人には理解できないようなきっかけで「自殺したい」という思いにとらわれてしまう心理状態のことです。ストレスの原因から逃避するために自殺を手段に選ぶ「自殺願望」とは違い、能動的かつ具体的に自殺を計画しようとする傾向があります。

また、駅のホームに電車が来るのをみて飛び込んだり、窓の外の景色が目に入ったことがきっかけで飛び降りてしまったりと、「自殺できる条件」が整った瞬間に突発的な自殺行為に及んでしまうケースもあります。

自殺念慮の段階

うつ病の診断に用いられる心理検査「ハミルトンうつ病評価尺度」では、患者が自殺を考える頻度や思いの強さを4段階に分類しています。

1:自分は生きている価値がないと感じ、消極的に死について考える

「自分は生きていても仕方がない」「もしかすると死んだら楽になれるかも」と、うっすらと死について考え、憧れるようになるのが最初の段階です。うつ病の初期はもちろん、回復段階でも陥ることがありますので要注意です。

2:予期せぬ事故など、受動的な死について積極的に考える

「今乗っている車が事故に遭ったら死ねるなあ」「家に強盗が入って、刃物で刺されたら死ねるかも」と、受動的な死について少しずつ積極的に考えるようになる段階です。うつ病患者さんがこういった希死念慮を口に出すことは少なく、環境によっては気付かれないことも多くあります。

3:自殺を匂わせるそぶりをし、具体的な自殺を考える

「最後に思い出の場所に行きたい」と自殺を匂わせるそぶりをしたり、「この立派な梁なら、首を吊っても落ちないはず」と、自殺の具体的な方法にまで考えが及ぶ段階です。この段階で周囲が気づくケースもあり、最後の防衛ラインともいえます。

4:自殺企図(じさつきと)

自殺念慮が悪化し、考えていた方法で実際に自殺を試みてしまいます。周囲の環境によっては自殺企図によって本人が死亡、重体になるまで気づかれないケースも少なくありません。

自殺念慮と精神疾患

自殺念慮は、ほとんどの場合は自責の念から起こるものです。大うつ病(一般的なうつ病)の場合は、抑うつ症状による思考能力の低下や集中力の低下によって日常生活に支障が出るようになり、そのことについて自分を責める自責の念から生まれます。周囲の慰めや励ましを受け取れず、周囲が望む自分でいられないことを責め、自殺を考えるようになるのです。

また、双極性障害(躁うつ病)の場合は、エネルギーが有り余っている躁状態の時に自分がした行動に自己嫌悪を感じてしまい、そこから自殺念慮に繋がることもあります。双極性障害は、躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。気持ちの波が大きいほど、自殺念慮への注意が必要になります。

まとめ

自殺念慮に気づかず、うつ病だからそんなこともあると放っておくと、最悪の事態を引き起こしかねません。うつ病の方が身近にいる場合、普段と違う様子がないか、注意を払ってあげてください。自殺念慮にとらわれている人は、自殺を具体的に、計画的に考えてしまいます。周囲の方々が「辛い」という気持ちを理解し、その気持ちを否定せずに聞いてあげることが最大のケアとなります。