うつ病ライブラリーDEPRESSION LIBRARY

うつ病の治療

うつ病で受診をする前に、
治療について
知っておきたいことや
心構えをお伝えします。

極期のアプローチ【その他の治療法】

うつ病という病気は、長い間実態のわからない病気でした。
うつ病という名前が浸透するまでは、ノイローゼと呼ばれていたり、気持ちの問題として厳しく叱責され、理解を得られないケースもあったのです。
ですが、うつ病患者の増加に伴って、うつ病に対する理解は近年急速に深まりつつあり、検査方法や治療方法も新たに確立されつつあります。
そのなかで、従来の投薬治療以外にもさまざまな治療法が開発され、精神医療の現場で活用されています。

うつ病が身体に及ぼす影響からみた治療法

うつ病の原因は諸説あります。脳内で分泌される神経伝達物質の不足や、人間関係や環境といった要因からなるストレス、うつ病に親和性のある性格などさまざまです。このように精神的な原因が多いことから、治療も投薬やカウンセリングなどが中心となります。しかし、なかには血流や身体のこり、こわばりのように、うつ病が身体に及ぼす影響に注目した物理的なアプローチを行う治療もあります。

脳に血液が回らず身体の機能が鈍くなると、結果として身体のこわばりや筋肉の緊張が起こります。すると身体の異常がストレスになり、ますますうつ病が悪化します。このサイクルを断ち切るために、鍼灸や整体、磁気刺激療法といった治療法が行われ、近年注目を集めています。

磁気刺激療法によるうつ病治療

経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう)とも呼ばれる治療法です。微弱な電流を帯びた8の字型の電磁石を頭部に近づけ、脳の神経細胞に刺激を与えます。脳自体も微弱な電気信号によって活動しているので、磁気刺激療法は脳のメカニズムに基づいた治療法だといえます。

磁気刺激療法には身体に起こる副作用がほとんどないことが強みですが、人によっては頭皮下にある神経や筋肉を刺激されることで、不快感や痛みを感じることがあります。また磁気刺激療法そのものは治療の効果が継続する時間が短く、定期的に治療を受けなくてはいけません。

鍼灸によるうつ病治療

先にも述べたように、うつ病は極度の緊張や筋肉のこわばりが持続する症状を伴うことがあります。そういった身体的な症状の改善に効果的とされているのが、鍼灸です。鍼灸は針を用いる鍼と、ヨモギの葉などを乾燥して作られたお灸を用いた灸の、2つがあります。近年では、電極を使用した電気灸というものが確立され、うつ病治療に効果をあげています。鍼灸を受けることで、ストレスに対応して筋肉を緊張させるノルアドレナリンという分泌物や、ノルアドレナリンが代謝する物質を減らすことが確認されています。また、針を用いる鍼治療では、幸せを感じ鎮痛効果をもたらす、エンドルフィンという神経伝達物質の分泌を促すことが確認されています。

鍼灸によるうつ病治療は、未だ化学的根拠の少ない治療法です。しかしエンドルフィンの分泌やノルアドレナリンの代謝物の減少が確認されており、これから期待できる治療法の一つです。

整体によるうつ病治療

整体は本来、身体の歪みを矯正するために行います。ではなぜうつ病治療に整体を用いるのかというと、身体の症状がうつ病の原因になっていることを考慮しているからです。気づかないうちに進行した身体の歪みが慢性的な痛みをもたらし、痛みが原因となってうつ病を発症するというケースも珍しくはありません。そういった場合には、治療の一環として整体を用います。マッサージや体操、温熱療法など、患者の身体の異常に合わせた治療を行い、ストレスとなっている痛みを取り除きます。

整体によるうつ病治療もまた、化学的根拠が少ない治療法です。法制度の観点からみると、整体は「医療類似行為」といい、正式な医療行為ではありません。しかし、2012年に世界的な学術雑誌に整体の効果についての論文が取り上げられ、医学的な効果があることが示唆されました。整体という分野の成長とともに、うつ病治療としての整体も確立していくことが期待されています。

まとめ

磁気刺激療法と鍼灸、整体といった物理治療の分野は、脳や身体に働きかけ、そこからうつ病の原因であるストレスや痛みを回復しようという方向性の治療です。はっきりとした化学的根拠こそありませんが、ストレスの原因によっては効果的な治療になりえます。うつ病が国民病といわれ、抗うつ剤の副作用が問題視される現代においては、身体や脳に働きかけるうつ病治療にも注目が集まりつつあるのです。