うつ病ライブラリーDEPRESSION LIBRARY

うつ病の治療

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初診時【最新検査法】

近年は、日本でもうつ病に対する理解が少しずつ広まってきました。
それに伴い、うつ病を治療、検査する方法も確立されつつあります。
現在、特に注目を集めているのが「光トポグラフィー検査」です。
これまで血液検査や生体マーカーといった客観的数値で確認することができなかったうつ病が、光トポグラフィー検査によって文字通り「可視化」できるようになったのです。
うつ病と脳の関係に注目して確立された光トポグラフィーについてご紹介します。

光トポグラフィーとは

光トポグラフィーは「近赤外線脳計測装置」とも呼ばれます。近赤外線という人間の目には見えない光を照射し、肉眼で確認できない場所にあるものの温度の変化や形状などを可視化する検査装置です。これを人間の脳に照射することで、脳の部位がどのように働いているか、どの部分に血液が多く流れこんでいるかを可視化します。

光トポグラフィー検査は、もともと脳神経外科において、言語機能の診断やてんかん焦点(てんかんが起こるときに脳で異常が起こる部位)を探るときに使われていました。そして2009年には、うつ病の鑑別診断補助として、厚生労働省から先進医療としての承認を受けました。このため、精神科の医師は光トポグラフィーを用いて大うつ病や統合失調症、双極性障害などの鑑別診断を行うことができます。

光トポグラフィーの利用

光トポグラフィー検査では、まず被検者の頭部に器具を取り付け、第三者が質問を投げかけます。質問の内容は、「黄色い色の食べ物は?」「【あ】から始まる言葉は?」といった非常に簡単なものです。質問に答えるために思考する際、被検者の脳の活動が活発になります。

このとき、健全な人の場合は脳に血液が集中し、血流量がすぐに上昇します。これは脳が正常に働いている証拠です。一方で、うつ病患者の場合は、問題が出されたことに対して反応はするもののそれに伴う血流量の増加が鈍い傾向がみられます。うつ病によって「考え始めるための力」が損なわれてしまっている状態です。

このパターンはうつ病に特有のもので、ほかの精神疾患にはまた別のパターンが存在します。脳の血流量を可視化し、パターンを解析することで、「うつ病なのか、別の精神疾患なのか」がわかります。これにより、精神疾患という目に見えない病気を可視化することができるのです。

光トポグラフィーをめぐる議論

光トポグラフィーはうつ病を可視化することのできる画期的な検査方法ですが、その一方で議論が起こっています。光トポグラフィーを行う患者が服用している抗うつ剤などが検査結果に及ぼす影響や、光トポグラフィーを利用して鑑別診断を行った症例数が少ないこと、光トポグラフィーでは脳の深部までは可視化できないことなどを問題とし、光トポグラフィーを利用した検査や鑑別診断に疑問を呈する医学関係者少なくありません。

しかし、典型的なうつ症状を発症している患者への診断一致率では、非常に高い数字が出ていることも確かです。光トポグラフィーはより正確な根拠となるために、多くの患者の検査結果を立証し、医学的、科学的な証拠を示すことが必要なのです。

まとめ

光トポグラフィー検査は、これまで不可視の病気であったうつ病に、文字どおり光をあてることに成功した検査といえます。脳の動きや血流を可視化し、精神疾患の鑑別診断の一つとなる光トポグラフィーは、主観的な検査、治療の多い精神科の領域ではとても画期的な検査方法なのです。

光トポグラフィーについては未だに議論が交わされていますが、現時点ではとても有用な方法でもあります。光トポグラフィーの検査結果だけでは病名を判断することはできませんが、患者本人だけでなく家族などにも客観的に理解できるデータとして、精神医療の現場では光トポグラフィー検査が活用されています。