うつ病ライブラリーDEPRESSION LIBRARY

うつ病の治療

うつ病で受診をする前に、
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極期のアプローチ【精神療法】

うつ病を含む精神疾患を治療する方法は様々なものがあります。
うつ病の原因は患者さんひとりひとりによって微妙に違い、その違いに沿った療法を行うことは大切です。
今回は、精神疾患の療法の中でも年齢を問わず広く行われ、バリエーションも豊富な精神療法についてご説明します。

精神療法とは

精神療法とは、抗うつ剤の投与といった化学的療法、マッサージや磁気刺激といった物理的療法を用いない療法です。主に対話や訓練といった方法で、患者の認知や情緒、行動に働きかけます。同じ療法を時間をかけて繰り返し行うことで、精神疾患や心身症の治療や心理面の問題の解決を図ることが目的です。精神療法にはこれといった決まった手段があるわけではなく、世界中で様々な精神療法が行われています。

特に人間関係に起因するストレスが影響しているとみられる精神疾患を治療する場合には、ストレスそのものを見つめなおし、医師だけでなく患者も自分のストレスを見つめなおすことになります。こうした治療は、投薬などの対症療法とは違い、根本的な解決のための治療として行います。

精神療法の種類

精神療法は、ストレスを見つめなおしたり患者の認知や情緒などに働きかける手段として様々な療法が確立されています。ここでは、精神療法をおおまかな分類に分けてご紹介します。

集団で行う精神療法

臨床心理士1人につき、数人の患者が集まって行うものです。患者自身が自分の持つ心の問題について話し合うことが多いのですが、テーマを与えられないこともあります。

ときには臨床心理士の介入によって会話をスムーズにし、患者同士のトラブルを避け、精神疾患の悪化を防ぎます。

集団で行う精神療法の主な目的は、会話をする中で患者自身の本当の気持ちを確認することです。会話の中で議論を行うことを主目的にし、結論を出すことは目的にはしません。

患者が自分の思いを表現することで周囲に与える影響を自覚することや、別の患者の受け止め方、感じ方を知ることにもよい刺激となります。

集団で行う精神療法は、集団精神療法、集団認知療法があります。

臨床心理士と一対一で行う精神療法

臨床心理士と患者が1対1で行う精神療法です。互いにリラックスした状態で、患者と臨床心理士が対話を行います。臨床心理士の質問や言葉によって、患者が感じている思いやストレスの原因などを探りだす療法です。臨床心理士は基本的に患者から言葉を引き出し、患者の言葉を傾聴します。また、患者が1つのことばから連想した言葉を分析し、ストレスの原因を探る療法も存在します。臨床心理士と一対一で行う精神療法は、カウンセリングや精神分析療法、認知療法があります。

芸術を利用した精神療法

絵やダンス、音楽といった芸術を利用することで患者の情緒に働きかけ、心身の健康の回復を図る療法です。芸術は自己表現の一つとされ、心が疲弊した患者が間接的に自分の思いや感情を表現する手段として効果的とされています。

芸術を利用した精神療法には、箱庭療法やアートセラピー(絵を描くこと)、音楽療法や遊戯療法などがあります。芸術を利用した精神療法は、大人のみならず子供のうつ症状にも広く利用されています。日本では、砂を敷き詰めた箱の中に様々なおもちゃを配置する箱庭療法がよく知られています。

まとめ

現在では、軽度の精神疾患患者には投薬よりも精神療法を行うことが主流となりつつあります。抗うつ剤のみに頼らず、対話や訓練などで治療を行う精神療法は、薬の副作用を気にする必要がない安全な治療法といえます。

反面、医学的なサポートがなく、うつ病患者本人の意欲や熱意によってうつ病の改善を目指していくことになるため、長期間同じ療法を繰り返すこともあります。精神疾患の治療中には長期的な繰り返しに苦痛を覚えるケースも珍しくありませんので、精神療法を行う際には周囲が協力して、モチベーションの維持に務めることも大切です。