うつ病ライブラリーDEPRESSION LIBRARY

うつ病の治療

うつ病で受診をする前に、
治療について
知っておきたいことや
心構えをお伝えします。

回復期のアプローチ【自殺予防】

うつ病においてもっとも最悪の事態、それが自殺です。
うつ病が悪化すると、自責の念から自殺念慮が生まれ「もう自分は死んだほうがいい」という、悲観的で偏った考え方に支配されてしまいます。
そういった自殺念慮から実際に自殺に及んでしまわないためにも、自殺予防について知っておきましょう。
うつ病患者本人のみならず、共に過ごす家族や友人といった立場の方々にも知っていただきたい知識です。

回復期はうつ病の自殺が多い時期

うつ病治療では、発症から症状緩和までの時期を3つに区切って考えます。うつ病になりかかった状態で、今までできていたことが上手くできない焦りで不安やイライラが生まれる前駆期と、うつ病のさまざまな症状が表れ始め、誰かに助けを求めようという意欲も湧いてこない極期。そして、治療によって徐々に回復に向かい、症状が一進一退する回復期です。このうち、うつ病が原因の自殺が起きやすい時期は、意外なことに回復期なのです。

回復期では、極期でつきまとっていた倦怠感が薄れ、やる気や活力も少しずつ湧いてきます。投薬治療の効果もあって、肉体的・精神的なエネルギーを取り戻し始めた状態です。

「今まで休んでいた分、復帰に向けて頑張ろう」という気持ちも湧いてきます。もちろん、まだうつ病が完治したわけではありません。日によって気分や体調にも波があります。

この状態で自殺念慮を抱いてしまうことが、うつ病ではもっとも危険なのです。回復期には、実際に自殺を企図するだけの体力と気力があるからです。自殺念慮を抱いてしまいかねない精神状態と、それを実行するだけの気力と体力が備わった回復期が、いちばん自殺を懸念する必要がある時期なのです。

回復期にこそ注意したいサイン

回復期にはうつ症状が一進一退し、本人の気持ちにも焦りや不安がみられます。いつもと違う言動に気づかずにいると、本人は心の中で自殺念慮を抱え込んでしまう恐れがあります。ここでは、周囲の人が率先して注意しておきたいサインをご説明します。

突然イライラしたり、不安な気持ちを口にする

人によっては、精神的には明るく気持ちが晴れているのに体がついていかなかったり、逆に体は元気なのに心が沈んでいたりと、心と体の状態がアンバランスな状態になることがあります。ままならない状態に苛立ったり、不安になってしまうことがあるのです。

死をほのめかしたり、自殺を連想させる行動をとる

「思い出の場所に行きたい」と言ったり、日記や私物の整理を始めたら、いよいよ自殺念慮が高まっています。ここまでくると自殺が現実的な選択肢の一つとなっている可能性が高いため、言動には十分注意しなければいけません。このほか、周囲の人に「自分が死んだらどうする」といった言葉をかけたり、遺書を書いたり、ナイフなど自殺を連想させる道具を購入したりといった兆候もみられます。

自殺防止のためには

うつ病の回復期に入っても、すぐに社会復帰できるわけではありません。回復期であっても症状が悪化することがあり、それを防ぐためにも、極期の間と同じような治療を続けることが大切です。回復期に入ったからといって、医師の指示なく服薬を中止したり、いきなりうつ病になる前と同じような生活に戻したりしてはいけません。治療の妨げになり、症状の悪化に繋がります。

うつ病患者の周囲でも、回復期の患者への対応は注意が必要です。少し調子が良さそうに見えても、社会復帰を急かすような言葉をかけてはいけません。回復期は、自分なりの生活を少しずつ取り戻すための治療を行う時期です。うつ病患者本人にも「早く復帰しなくては」という焦りがあります。急かす言葉は本人の焦りに拍車をかけ、大きなストレスとなってしまうのです。ストレスは症状の悪化を招き、自殺念慮を抱かせるきっかけになります。

回復期といっても、心にはまだ疲れが残っています。極期の間と変わらず、本人が辛い気持ちを話したがるときは、その気持を否定せず、できるだけ共感を持って耳を傾けてください。このような姿勢を傾聴といいます。

まとめ

回復期は、症状が一進一退しながら進んでいく時期です。本人のみならず、共に生活する家族も我慢の時期だといえます。周囲の人は患者のはやる気持ちを察し、よく耳を傾け、焦りを解消してあげることに注力しましょう。患者側も決して焦らないように、ゆっくりと治していくよう心がけることが大切です。自殺防止のためにも、症状の進退に対して一喜一憂するのではなく、長い目でうつ病を見据えて治療していきましょう。